相続税評価とM&A相場の違い
相続税評価額とM&A相場は違うことが殆どです。
相続税評価額は、財産評価通達に基づいて算出しますが、
M&Aの相場は数多くの成約実績の中から導き出される為、
同じ価値算定でも結果が異なってきます。
今回は、相続税評価とM&Aにおける価値算定相場の違いの詳細について記載させていただきます。
相続税評価について
取引相場のない非上場会社の株式の評価額は、
類似業種批准方式と純資産価額方時期を加重平均して算出をする方式をとります。
類似業種批准方式は、業種等が類似の会社を基準に株価を算出する方法で、数値等は国税庁の法令解釈通達に記載があります。
こちらの類似の会社は、上場企業の株価を基に算出をしております。
類似業種批准方式による算出は、市場価値に連動した評価形態と言えますが、
現在の調剤薬局業界の殆どを占めている企業は中小企業ですので、
上場会社との比較だけで算出することは、少し難がありそうです。
その為、純資産価額方式を併用する形となります。
純資産価額方式は、純資産額をそのまま株価として認識する評価法となります。
その二通りで算出した価額を下記のように加重平均します。
(類似業種批准価額)×L+(純資産額)×(1-L)
Lの割合は、小企業になるにつれて小さくなります。
参考:Lの割合が重要!類似業種と純資産価額の併用割合
ということは、企業体が小さければ小さいほど、純資産額のみでの評価に近くなってしますということです。
※他に配当還元方式等ありますが、配当を出している中小企業は少ないため割愛しております。
M&A相場について
M&Aにおける、取引相場の算出法は多々ありますが、まずは営業権の算出からスタートします。
まずは、EBITDAと呼ばれる数値を算出します。
参考:https://www.cb-p.co.jp/column/5428/
簡易的にEBITDAは、「営業利益+減価償却費」とされますが、
実際には削減可能費用や、調剤薬局特有の調剤報酬の加算減算を加味して算出をします。
勿論買手企業によっては、プラスでかかる費用もそれぞれの場合がある為、相手先の事業も加味する必要があります。
そして、EBITDAを何倍で見るか(multiple)の算出を行います。
近隣医療機関の存続可能性等の外部影響も含めて算出されるため、
少ない場合で1倍しかつかない場合から、6倍という数値が出る可能性もあります。
私が経験した中では、「営業権=EBITDA×(1~6)倍というのが通常」であるという感覚です。
そして、ネットキャッシュ(もしくはネットデット)を営業権に加えたものが株価となります。
※ネットの概念ですが、現金同等物と有利子負債(役員貸付金等も含む)を相殺した額となります。
事業用資産は、すぐに現金化できないことに加え、
営業利益を生み出す源泉ですから、営業権に含まれると解します。
このように、相続税評価での株価とM&A相場の株価では、アプローチの手法が全く異なります。
まとめ
価値算定等を顧問税理士等にご依頼された経営者様も多くいらっしゃるかと思いますが、
過去に私が担当したお客様で、税理士の方に過去に算出してもらった価格の3倍近くの評価でご譲渡が成立した事もありました。
調剤薬局のM&Aの成約を積み重ねた弊社だからこそ出来る価値算定もございますので、
セカンドオピニオンとして、一度ご検討されては如何でしょうか。
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