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スタッフコラム

調剤薬局のM&Aの概要やその相場とは


2019年現在、調剤薬局業界では、調剤薬局事業並びに運営会社の譲渡や買収・合併といったいわゆるM&Aの件数が増加傾向にあります。

実際の調剤薬局のM&A市場において、調剤薬局がいったいどれほどの価格で、どういった評価で譲渡されているのでしょうか。

今回は、調剤薬局成約件数日本No.1のCBコンサルティングが、調剤薬局のM&Aにおける相場についてご紹介致します。

薬局業界の状況

薬局事業の特性とは 

調剤薬局業界自体は、国の医薬分業施策によって急激に成長をみせ、2019年4月時点では、日本全国にあるコンビニエンスストアの店舗数より多く調剤薬局の店舗が存在しているという、競争の激しい事業になります。

しかし、他の事業と比べ、1店舗あたりの商圏はそこまで広くなく、比較的近くの店舗同士でもそこまで競合とならない場合も多く存在しています。

また、大手調剤薬局チェーンの市場シェアも小さく、7割以上が個人または中小規模の調剤薬局となっております。

調剤薬局自体の運営は薬剤師の資格を持っていなくてもできますが、薬剤師は必ず店舗に必要となるため、中小規模の調剤薬局の代表者の多くは薬剤師となっています。


調剤報酬について 

調剤報酬点数は、国民が誰でも平等に治療が受けられるように、薬の値段や薬剤師の技術料は厚生労働省が決定しています。

点数の合計に対して10円をかけたものが実際の保険調剤に対する医療費となりますが、患者様が支払う金額は3割となっています。

この調剤報酬が、調剤薬局の大きな収益源となっていますが、近年この調剤報酬の改定が頻繁に行われ、中小規模の薬局の経営に重くのしかかりつつあります。

薬局業界の市場状況

人材不足の解消は可能 

調剤薬局の運営で、大きな課題となっているのが薬剤師の資格を持った人材不足です。

薬剤師の資格を持った人にしかできない業務も多くあり、調剤薬局の運営には、薬剤師の人数は死活問題であるのですが、中小規模の薬局や地方で運営されている調剤薬局では、なかなか採用が難しく、今まで勤務してくれていた薬剤師が退職するとなった場合に、経営ができなくなってしまう調剤薬局も少なくありません。 

しかし、この人材不足の解消はM&Aによって可能なのです。
調剤薬局のM&Aでは、買い手側から薬剤師を補充してもらえることも多く、M&Aが実行されることで、地域の医療と薬局を存続させることができます。

また、大抵の場合買い手側の方が資金力のある法人であることが多く、薬剤師に対する待遇改善も期待ができます。 

そのためM&Aを実行することによって、薬剤師の退職を防ぐことも可能なのです。
 

収益減の恐れがある 

調剤薬局の売上は、調剤報酬が多くの割合を占めていますが、近年調剤報酬が頻繁に改定されており、その改定が中小規模の調剤薬局にとって、収益が減という方向に動いていることが多いです。

そして、今後も調剤報酬改定は続き、さらに中小規模の調剤薬局は生き残りが少しずつ厳しくなっていくと予想されています。

また、日本全体が少子高齢化社会に突入しており、今後の人口増加は残念ながら見込まれていません。

また、人口の都市部への集中により、地方では急激に人口の減少が見込まれています。このような状態であるため、調剤薬局の事業自体が”現状維持”が難しく今後収益がさらに落ち込むことが予想されております。

増加傾向にある薬局のM&A件数

上記のような業界の状況が主な要因となり、
調剤薬局のM&A件数は近年急激に増加しております。

特に、1店舗あたり年間1億円前後の調剤薬局のM&Aが盛んで、そこまで大きい規模のM&Aが起きているわけではなく、中小規模の調剤薬局を対象にしたM&Aが頻繁に起きています。

調剤報酬改定、少子高齢化による減益の可能性だけではなく、現在の調剤薬局の経営者の多くが団塊の世代であり、一気に後継者への引継ぎが始まっているのですが、

後継者が社内や親族内にいる薬局ばかりではなく、地域や医療のことを考えると薬局を閉めるわけにもいかず、第三者に引き継ぐ方向性を検討し、最終的に調剤薬局のM&A件数が伸びてきているのです。

薬局のM&Aが増えている理由

売り手側のメリット  

業務負担が軽減できる 

M&Aと一口で言っても、大きく分けて株式譲渡と事業譲渡があります。株式譲渡は簡単に言ってしまえば、会社全体を譲渡することで、事業譲渡は調剤薬局の店舗ごとに譲渡をする方法になります。

事業譲渡の場合、管理する店舗の数自体が減少するため、経営者や各従業員の業務負担を軽減することができます。

また、株式譲渡の場合でも、元オーナーが会社に残り現場の薬剤師として働くという選択肢も選ぶことができます。

そうした場合には、経営者としての業務ではなく、現場のみに専念できるため、個人的な業務自体を減らすことが可能なのです。 

後継を確保することができる 

M&Aの大きな理由の一つに後継者がいないという問題があります。社内の従業員はもちろん、親族内にも後継者がいない場合には、いずれ調剤薬局を閉局しなければならないことは目に見えており、代表の方がご勇退を考えられたタイミングでM&Aでの第三者承継のご相談を頂きます。

特に、現在は調剤薬局運営法人の代表者の多くが団塊の世代であり、世代交代を代表の方が現実に考え始めているタイミングです。

そのため、以前よりも比較的多くのM&Aが実行されています。 

創業利益を得ることができる 

調剤薬局に限ったことではありませんが、M&Aが実施された場合、ある程度まとまった資金が売り手の代表(株主)に入ってきます。

特に調剤薬局の場合は、創業者の方が非常に多く、役員報酬を削ったり、会社の資金を借り入れするために個人保証をつけていたりと、かなりの苦労をされている方が非常に多いです。

M&Aが実施されると、譲渡対価が手元に入ってくるだけではなく、借り入れの際に入れていた個人保証を解除することも可能です。(株式譲渡の場合)

このような、さまざまなリスクから開放されたり、まとまった資金が手に入ることが創業者利益となります。

買い手側のメリット  

軌道に乗った状態で営業開始できる 

調剤薬局を買収するメリットの大きな部分がスピード感です。
調剤薬局をゼロから開業しようとすれば、店舗物件の契約から内装の工事、薬剤師の募集や医療機関との関係性構築など、多くの時間を費やしてしまいます。

M&Aを実施した場合には、買い手側では物件の工事も医療機関との関係性の構築もそこまで必要とせず、薬剤師も引き継ぐことができれば、買収した調剤薬局の延長で運営を開始することができ、非常に効率的です。 

調剤以外のノウハウを得られる 

調剤薬局では、薬以外にも一般雑貨を販売していたり、地域医療のためのセミナーを開いていたりと調剤以外の事業を展開していたりすることがあります。

また、その地域特有の商慣習などがあるなどの地域ごとのノウハウがあることもあります。M&Aの場合、それらをそのまま引き継ぐことも可能で、調剤以外のノウハウも得ることができるメリットがあります。  

競合店が減る 

調剤薬局業界は、近年でも新規出店はあるもののそれほど数は多くありません。しかし、M&Aは活発に行われているため、簡単に言えば、競合となる法人数が年々減少していると言えます。

そのため、調剤薬局業界の場合は、M&Aを実施することによって、競合店が減ることと直結するのです。

また、同じ地域の競合点を買収することによって、地域ドミナントを形成することができ、競合に対する優位性を保つことができるようになります。

薬局M&Aの相場の求め方

相場を決める要素
 

営業権 

営業権とは、いわゆる”のれん代”と呼ばれるもので、調剤薬局が利益を出す力を表した数字となり、営業利益から調剤薬局の将来性や経営するうえでのリスクを考慮して、今度3~5年間の経営状況を予測したものを反映させた価格となります。

直近の調剤薬局のM&Aでは大体3年前後が相場となっており、
算出する式としては、 

営業利益 + 減価償却費 =EBITDA

EBITDA × 3~5年 = 営業権

となります。

時価純資産価額 

決算書(貸借対照表)上の棚卸資産やソフトウエア、設備、売掛金などの”資産”を時価に評価し、貸借対照表での時価での純資産を導きます。

大抵の場合には、営業権+資産価額 が算出される譲渡相場となりますが、この金額がそのまま通るわけではなく、買い手の要望やその他薬剤師の引継ぎ等も含め、実際の価額が決められていきます。

最後に

以上で見て頂いたように、
調剤薬局業界自体のM&Aは最盛期を迎えており、
今後数年はM&Aの勢いが伸びていくと見られています。

しかし、報酬改定や人口減少の影響で、実際にM&Aで取引される調剤薬局の金額は少しずつ低くなっているのが現実です。

調剤薬局のM&Aは、早くとも3ヶ月、平均で半年ほどM&Aを決意してから成約するまでに時間がかかります。

決意するまでにも、どれくらいで売れるのかなど不安もたくさんあるでしょう。

当社CBコンサルティングズでは、調剤薬局M&A成約件数日本No.1のノウハウを生かし、調剤薬局の価値算定は無料で行わせて頂いております。

M&Aを本格的にご検討になる前に、ご自身の薬局の価値を知っておくのは非常に重要になります。ぜひ一度当社の価値算定サービスをご利用くださいませ。


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