調剤薬局を売却する際に気をつけること
報酬改定が1年後に迫り、薬局業界に対しての先行き不安は、
ここ数年で一番高まっていると感じています。
後継者がいらっしゃる方や、まだまだ現役の方などからも、
会社売却や事業売却のご相談もかなり増えてきています。
今回は、200件を超える成約実績を持つM&Aアドバイザリーである私達から見た売却時のリスク、気をつけるべきこと2つだけお伝えします。
①売買価格の決め方
調剤薬局を売却する場合の適正価格をご存知でしょうか。
「営業利益の3年分」「技術料の1年分」「売上の3か月分」等々色々な話を伺いますが、全て誤りです。
厳密にいうと誤りではないのですが、上記をベースにしてしまうと後々誰かが後悔をするM&Aになってしまいます。
会社・事業の売却に関して
相場はありますが、方程式はありません。
企業や事業の性質を加味した上で、買手企業とすり合わせをしていきます。
ベースとなる売買価格は、当社ではEBITDAを用いた類似会社比準方式をメインの手法として採用しております。
②法務・税務・労務リスクを知る
「売りたい」そして「買いたい」というニーズのマッチングですから、売主様、買主様は基本的には同じ方向を向いています。
ですが、話しが具体的になった瞬間「高く売りたい」「安く買いたい」と相反するニーズが出てきます。
非常に当たり前の話ではありますが、「交渉事」となるわけです。
私達は、初期のニーズのマッチングから交渉代行をさせていただくわけですが、最も重要だと感じていることは
「自分自身を客観的に知る」ことです。
ここでいう自分自身とは、売却対象となっている企業・事業、そして売主様自身です。
そして特に知っておく必要があるのが、「リスク」なのです。
一つエピソードをご紹介します。
知り合いの方と売買を進めている売主様から、
ご相談を受けたことがありました。
相談の内容としては、
「残業代の未払金を誰が負担するかで揉めている」
とのことでした。
詳細を伺うと、実は管理薬剤師から”過去の残業代を支払ってくれ”、という請求が譲渡を実行する直前になって書面で売主様に届いたそうです。
雇用契約を拝見すると、確かに残業代を支払う旨が記載されているのですが、その後、口頭にて見込み残業として年収に含まれる旨、合意をとったそうです。
残業代の未払いは、2年間労働者に請求権が残りますので、金額にするとそれなりの金額となったそうです。
残業代の未払いについてその労働者の方と争うことはできますが、買主様としては当然争いは避けたい状況ですのでこうなると、双方が満足する答えを出すことは出来なくなってしまいます。
実際、買主様は、「他にもあるのでは?」と慎重になってしまい、双方の関係性も以前のようなものではなくなってしまいました。
事前にこの労務リスクを売主様が把握しておけば、このような事態は起きなかったはずです。
では、なぜ売主様は見逃してしまったのか。
それは、「大丈夫だと思っていた」からです。
「大丈夫だ」と思っていることをリスクとして思い出すことは難しいものです。ただ上記のようなことが起こり得る以上は漏れがあってはいけません。
当社では、法務・税務・労務・事業等のリスクをリスト化し、漏れなくヒアリングさせていただけるような体制をとっています。
③しっかりとした契約書を結ぶ
どんなに仲が良く信頼されている方と、M&Aを行なうとしても絶対にしっかりとした契約書を結ぶようにしてください。
「信頼をしているから」雑な契約書を結んでしまっているケースがありますが、後々揉めることが多々あります。
「親密」なので言いづらいことがあるから、雑な契約書になってしまうのだと思いますが
「親密だからこそ」細かくしっかりと確認を行なってください。直接取引を行い、これまでに築かれた関係性が壊れてしまった方々をたくさん見てきました。
重要なのは「売却すること」ではなく「売却をした後」です。
ご自身が血肉を削って育てられた企業や事業を永続させるためにも、上記2点をお気をつけいただければと思います。
直接取引をされる場合のご相談にもお答えしております。
もっと具体的なご助言をご希望の方は是非お問い合わせください。
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