厚生労働省は2022年9月30日、医薬品医療機器等法施行規制の一部改正しました。内容は薬局内だけでなく、その薬局に従事する薬剤師と「薬局以外の場所」でもオンライン服薬指導が出来るようになりました。
薬局以外での場所でもオンラインで服薬指導が出来るようなるとどのようなメリットがあるのでしょうか?
患者様と薬剤師の効率化を構築化したオンライン服薬指導とは
オンライン服薬指導とは、患者様が医療機関から受け取った処方箋を元に、パソコンやスマートフォンにあるビデオ通話機能を利用し、薬剤師による説明や相談をうけることができる仕組みのことです。
一連の流れは下記の通りです。
①患者様が医療機関を受診の際に「オンライン服薬指導を希望する」ことで、オンライン服薬指導を行っている薬局へ医療機関から処方箋を送付していただく。または、FAXや薬局が導入しているアプリ等を利用し、オンライン服薬指導を行っている薬局へ処方箋を送ります。
②送付された薬局に、患者様自身の予定に合わせ、オンライン服薬指導の日時を予約されます。
③パソコンやスマートフォン等を利用し、オンラインで繋げ、薬に関する説明や体調の確認、副作用の有無等の説明を行い、相談事項があれば相談受けます。
④薬局指定の決裁を行い、薬局からお薬を配送します。
医療従者側は、時間効率を著しく削減するができ、より多くの患者様に医療を提供することができます。
コロナ禍だからこそできる在宅医療の提供
2019年12月初旬に、中国の武漢市で第1例目の新型コロナウイルスの感染者が報告されてから、間もなく3年が経とうとしています。
最近では、コロナ禍による規制が徐々に緩和されはじめ、通常の生活に近づきつつありますが、日本ではまだコロナ禍だからと自宅で過ごす時間が多く、気持ちの負担になっている方も多くいらっしゃいます。
また、医療機関や薬局を訪れる方のなかには、外出した際に、新型コロナウイルスやインフルエンザなどの感染を心配される方もいらっしゃいます。
その様な状況下において、ご自宅でオンライン服薬指導を利用することができるサービスは、患者様に少しでも気持ちの負担を減らしながらも、医療をお届けることができます。
好きな時間に気軽に相談・質問が可能
薬の使い方や病気について、家族や身内に相談しづらいことはありませんか?
気軽にご相談ができる環境を作ることができれば、心身ともに健康になっていくと思いませんか?
患者様は、自宅にあるPCやスマートフォンを利用するため、薬局で周囲を気にして相談ができなかったことなど、気軽に相談や質問が可能となります。より「かかりつけ薬局」としての活躍の場が広がることでしょう。
また、移動時間や待ち時間がないため、患者様自身の都合に合わせ、好きな時間帯や場所が選択できることができます。事前にご予約をいただくため、対応薬剤師もスケジュール管理がしやすく、双方にとってメリットがあります。
今回の改正のポイント
今まではルールが定められており、オンライン服薬指導が受けられる対象者は限られておりましたが、2020年度の診療報酬改定により、多くの方がオンライン診療およびオンライン服薬指導を受けられるようになりました。
・オンライン服薬指導が初回から実施可能
→従前は同一内容やこれに準ずる内容の処方箋により調剤された薬剤が、事前に対面による服薬指導を行った場合のみオンラインでの服薬指導が可能でしたが、今回は初回から実施可能になりました。
・診療の形態に関わらずオンラインでの服薬指導が可能
→オンラインや訪問診療に基づく処方箋のみが対象でしたが、今回から全ての処方箋が対象になりました。
・服薬指導計画の見直し
→患者ごとに同意を得て「服薬指導計画」を作成し、オンライン服薬指導を実施していたが、今回見直しがされます。
「リモート服薬指導」が解禁
薬局以外の場所にいる薬剤師がオンライン服薬指導を行う「リモート服薬指導」が2022年9月末から解禁されました。
家庭の事情等により出勤して業務を行えない潜在薬剤師の雇用創出が期待される他、新たな働き方の提示にもつながり、これまで転居等に伴う事情で、やむを得ず退職を選択することになった薬剤師が、在宅で勤務するため継続的に働き続ける環境が実現しました。
リモートで服薬指導を行う薬剤師は、騒音や音声が聞き取れない状況や、適切な判断が困難となるおそれがある場所での指導は行わず、患者様のプライバシーに配慮がなされている環境であることなどの制限があります。
店舗とリモート薬剤師との連携を図り、ミスなく安全に行うための仕組みつくりが課題となりますが、オンライン服薬指導が求められる昨今であるからこそ、薬剤師にとって新たな働き方が生まれました。
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