厚労省からの発表
2019年4月2日付で厚生労働省から発表された「調剤業務のあり方について」という通知により、薬剤師が調剤に最終的な責任を有するということを前提として、薬剤師以外の者に実施させることが可能な業務について示されました。
従来は、薬剤師法第 19 条において、医師、歯科医師又は 獣医師が自己の処方箋により自ら調剤するときを除き、薬剤師以外の者が、販売 又は授与の目的で調剤してはならないことを規定していました。
ではこの事が、今後の薬局運営にどのように影響を与えるのか考察していきます。
テクニシャン制度の導入
「テクニシャン制度」という言葉を耳にしたことがある方も多いと思います。
テクニシャンとは、薬剤師の助手的な存在として、ピッキングや薬剤調製や事務作業を行う人のことを指します。
薬剤師はテクニシャンがいることにより、一層処方監査や患者との対話に時間を割くことができます。頭を使う作業に集中できるというわけです。
こちらのテクニシャン制度は欧米で広く導入されています。
そして、日本においてもテクニシャン制度を導入すべきだという声は少なくありません。
一昔前と比べると、薬剤師一人あたりの業務量は増えたとある経営者の方から伺った事があります。
そんな中、対物業務から対人業務へのシフトを促す流れが迫り、働き方改革の一環としての労働基準法改正、人件費の上昇、など経営者の方の悩みの種は尽きません。
テクニシャン制度はそれらの解決策として歓迎されると予想されているのです。
収益性の確保
厚生労働省から発表された「調剤業務のあり方について」という通知は、上記の流れを促す意図があると推察します。
テクニシャン制度は、確かに一部の経営者の方にとって希望となり得るでしょう。
しかし、それだけではないようにも思います。
仮にこの制度が導入されれば、薬剤師の業務範囲は狭まるのではないでしょうか。
つまり、今まで薬剤師が行った業務によって取れていた加算も、取れなくなる可能性がある、という事を示しています。
いわば、薬剤師業務の一部を譲り渡してしまう事に他ならないのです。
薬剤師、テクニシャン、事務員など、それぞれの役割をしっかりと理解し、薬局全体としてどのように収益を上げていくのか。
先述の働き方改革の事も考慮すれば、ますます人員配置には頭を悩ませることになりそうです。
加えて、遠隔服薬指導の広まりも、薬局のあり方を大きく変えてくることになるでしょう。
今まで以上に経営者お一人お一人の手腕が問われていくように思います。
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