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スタッフコラム

調剤薬局M&Aにおける従業員告知のタイミングはいつ


従業員へのM&A告知をいつ伝えるべきか

会社や事業を譲渡する経営者には「従業員に、いつ・どう伝えるべきか?」 というセンシティブな論点が、必ず発生します。
そこで多くの経営者が共通して思われるのは、「譲渡後も、良い(納得のいく)環境で働いて欲しい」 ということではないでしょうか。

手塩にかけたのは、会社・事業だけではありません。
そこで働く従業員もまた、経営者にとって大切な財産であり、幸福を願う対象であるわけです。

しかし、それとは裏腹に、M&Aは秘密に進めるもの。
早々に事実を知ることで退職リスクが増加したり、計画が周辺に漏えいが発生し、順調に進んでいたM&Aが白紙に戻ることもありますので、告知する範囲・対象を慎重に考えねばなりません。

従業員への告知のタイミングは慎重に

ストラクチャーは株式譲渡か事業譲渡か、
従業員のなかでも、薬剤師か医療事務か。
案件の背景や事情にも依るため、一概に告知のタイミングを規定するのは困難です。

とはいえ、経営層と従業員は一線を画すもの。
従業員への告知は、譲受先との調整・交渉が、一定の水準までまとまってからにすべきでしょう。
具体的には基本合意、最終合意の締結後が節目になります。

ただし、調剤薬局は資格人員が重要な業界ですので、管理薬剤師など事業上のキーマンに限っては、やや早めに告知するのも選択肢といえるでしょう。

いずれにせよ、信頼できるアドバイザーと十分に相談のうえご計画ください。

譲渡方法によって変わる従業員の雇用・待遇とは

株式譲渡は、経営者が変わることが多いものの、雇用関係(就業規則を含む)が変わりませんので、即座に就労環境が変わるということは少ないでしょう。

事業譲渡の場合、雇用主が変わってしまうため、各従業員と雇用契約の再締結が必要です。ゆえに、株式譲渡に比べれば、その内容(待遇等)が従業員の進退に直接影響する可能性が高くなります。

いずれにせよ、一定期間は従業員を守るため、不利益変更が生じないよう譲渡契約がなされます。

その後、譲受先がどのように新しい環境を提供するか。特に採用コストのかかる薬剤師の雇用維持、定着促進のために、頭を悩ませることになります。

人材もまた、経営資源の一要素という見方をすれば、利益創出に向けたシビアな差配が必要なのも仕方ありません。しかし、何を差し置いても重要なのは 「従業員との対話」 です。

譲渡側は、これまでの貢献に対する労い。
譲受側は、これからの活躍に対する期待。

待遇の前後比較より重要なのが、心のケアなのです。