診療所の9割が減収、助成金や融資を申請・予定は5割
先日、大阪府保険医協会がおこなった診療所の実地調査によって、2020年4月の保険診療収入が前年より減少したのは9割超、国・自治体の助成金や融資を申請した又は検討している機関は約5割にのぼっているという結果が発表されました。
保険診療収入の減少した割合については、40%以上減少との回答は全回答中20.5%だったことに対し、診療科ごとに見ると耳鼻咽喉科では97%、小児科では45%を占めており、診療科目によって影響度の違いも浮き彫りとなった結果でした。
また、収入が落ち込む一方で、マスクや消毒液価格の高騰などによる出費の増大と消費税が負担になっているという声も少なくないようです。このように、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が医業経営やリハビリテーションの運営などに大きな影響を及ぼしていることは明らかだと言えます。
こうした実態調査結果も公表される中、薬局オーナー様からお寄せいただく情報からも、応需科目により影響度の差が生まれている実態が窺い知れます。
複数のオーナー様から、
「受診率は下がったものの、処方日数が伸びることで4月の売上は上昇するが、コロナの影響度が明らかになっていくのは5月以降になるので、不安な状況が続いている」
というお声も数多く聞こえてきます。
売上以上に深刻なコロナが及ぼした影響
また、とあるオーナー様から、コロナ禍を経て売上以上に深刻な懸念事項が生まれているというお話をうかがいました。
それは、「従業員承継」が成り立たなくなるリスクです。
これまで、独立開業を志す薬剤師に対して、積極的にその支援を行い、従業員承継を進めていくという従来の承継プランが、今後は成り立たなくなるかもしれないことを危惧していらっしゃいました。
そのオーナー様が言うには、感染症対策というテーマがこれまで以上に重くのし掛かり、薬局経営への心理的ハードルを高くしてしまったということです。このように、独立開業をしたいと考えていた勤務薬剤師の心情変化も、今後時間が経つにつれさらに顕在化していくことが見込まれます。
世界的規模で発生した危機ですので、地域医療存続のために国からの助成や今後の対策が待たれるところですが、自らの対応力だけでは避けられないリスクの存在を、強く印象付けられた出来事となっているようです。
さらに、これは従業員承継に限ったことではありません。
通常、薬局の事業承継におけるパターンは大きく分けて
①親族内承継
②親族外承継(社内承継)
③親族外承継(社外承継・M&A)
が考えられますが、一連のコロナがもたらした不安は、譲渡主の心理にも影響を及ぼしているからです。
つまり、「親族内承継」を考えているオーナー様にとって、身内に譲渡することを躊躇するケースがこれまで以上に生まれてくると考えられるからです。経営者としての資質に不安を覚え、あえて親族内承継を選択せずに、第三者承継を選ぶオーナー様はこれまでも一定数いらっしゃいましたが、今回の世界的な感染症危機によって、そうした意識がより明確になっていくものと考えられます。
これまで報酬改定のたびに生じる課題だけでなく、あらたに突き付けられた経営課題が浮き彫りとなりました。
・感染症対策への資金的不安
・医療機関(医療従事者)への風評被害の不安
・人員確保のさらなる困窮
「コロナ離職・休職」という言葉のとおり、医療従事者の離職もしくは休職が進行していることも一部で報じられています。薬局経営の課題は複雑化・高度化の一途を辿っています。今後の経営戦略について、ぜひ我々にご相談ください。
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