現状、「0410対応」により、電話や情報通信機器を用いたオンライン診療・服薬指導の初診からの実施が時限的に可能となっています。待ち時間の解消といった患者の利便性の向上などの効果が期待されていて、国は「オンライン診療・服薬指導の恒久化」を目指しています。オンライン服薬指導の現状、今後の行方を解説します。
オンライン服薬指導、現状のルールを確認
「0410対応」により、初診からのオンライン服薬指導の実施が時限的に解禁されました。その後、2020年9月に改正薬機法が施行され、薬機法においても、一定の条件下でのオンライン服薬指導が認められました。
臨時措置である「0410対応」が継続されている現状では、オンライン服薬指導において「0410対応」と改正薬機法の2つのルールが存在しています。
いずれもオンライン服薬指導を許可するものですが、実施の要件や対象患者が異なるため、それぞれのルールを理解しておく必要があります。
参照:厚生労働省 令和2年10月21日第2回医療・介護ワーキング・グループ
今後、恒久化に向けてどう進む?
厚生労働省では、新型コロナウイルス感染収束後においてもデジタル時代に合致した制度となるよう、時限的措置である「0410対応」の原則解禁を目指してルールの整備を進めています。
初診からオンライン診療・服薬指導を実施できるよう、安全性・信頼性を確保するためのルール案として、以下6つが挙げられています。
(1)必要時に速やかに対面診療へ移行できる仕組みや、オンライン診療と対面診療との組み合わせで実施する体制の確保
(2)オンライン診療に適さない症状をあらかじめ除外し、対面診療へ誘導する仕組み
(3)患者への説明や同意に関する統一のフォーマット化や、事前の同意取得の義務化
(4)マイナンバーカードなどを用いた本人確認の必須化
(5)リスクの高い処方薬の制限や処方日数の制限
(6)必要な知識・技能を習得するための研修の必修化
2021年夏頃に、初診の取り扱い、対象疾患等、診療報酬上の取り扱い等も含めた制度の骨格をとりまとめ、実施に向けて取り組みを進める予定です。
オンライン服薬指導は普及していくのか
規制緩和にもかかわらず、あまり普及が進んでいないのが現状です。スマートフォンなどでの実施が前提となるため、高齢の患者さんにとって操作のハードルが高い、といった声もあがっています。
一方、現在議論されているオンライン診療・服薬指導の恒久化のほか、2023年1月頃を予定している電子処方箋の運用開始により、オンライン服薬指導の普及が進むと見込まれています。
国が進めている、オンライン診療・服薬指導、医薬品配送まで「一気通貫」する医療の体制の実現に向けても、オンライン服薬指導は推進していく方向です。
規制・ルールを把握し、必要な際にオンライン服薬指導を実施できる体制を準備しておくことは必要かもしれません。