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スタッフコラム

銀行の融資は何をもって決まるのか


薬局の店舗展開、独立開業をされる際に、銀行の融資を受ける方は多いのではないでしょうか。
融資を申し込んだけれど、受理されなかったり、希望してた金額にはならなかったなどといった経験をされる方も多くいらっしゃいます。

今回は元銀行員の経歴をもつアドバイザーより、銀行の融資はどのようにして決まるのかについて、ご紹介させていただきます。
ぜひ情報収集の一環としてぜひご覧ください。

銀行の融資は「格付」で決まる

「格付」とは企業・個人が銀行に融資を申し込んだ際、融資の可否・金利・返済期間等を判断するための等級のようなものです。

格付は一般的に大きく6種類に分類されます。
種類としては「正常先」、「要注意先」、「要管理先」、「破綻懸念先」、「実質破綻先」、「破綻先」となります。
尚、この等級を「債務者区分」と呼びます。
どのように分類されるかについては、後ほど触れたいと思います。

どの区分に振り分けられるかによって銀行の融資姿勢が変わります。
したがって、どのようにすれば良い格付を得られるのか理解し、格付け対策をする必要があります。

「格付」はどのようにして決まるのか?

では、どのようにその格付というものが決まるのでしょうか。

格付の評価ポイントは、主に2点あります。
 ①決算書をもとにした「定量的評価
 ②数字だけでは見えてこない経営者の経営能力・人格等をもとにした「定性的評価

格付では定量的評価に重きが置かれ、定性的評価はあくまでも補完的役割であるとされています。
つまり、定性的評価がどれほど高くても、定量的評価が悪ければ、格付は上がりません
そこでまずは、定量的評価について理解しておきましょう。

決算書の数字に基づく「定量的評価」

定量的評価とは決算書等の数値データをもとに企業の財務の収益性・安全性・成長性、それに伴う債務の返済能力を評価したものです。
黒字確保しているから評価が良くなるものでもなく、また基本的に3カ年分で評価をするため直近期のみ業績が良いからと言って良い格付になるとも限りません。
様々な角度から企業の評価をします。

それでは銀行は決算書のどこを見ているのか、代表的な項目を挙げさせていただきます。

貸借対照表(B/S)では純資産の部がプラスになっているかを確認しています。
純資産の部がマイナスになるということは、負債が資産を上回る債務超過の状態にあるということなり、格付は下がります。

損益計算書(P/L)では当期純利益よりも経常利益に着目します。
経常利益は、利息の支払いも含めた通常の営業活動による損益を表すため、経常利益が黒字であれば高く評価されます。
銀行からすると利息を支払っても利益がプラスのままであると見られるからです。

そしてそれら決算書のデータから算出される数値で評価項目となるものが「自己資本比率」・「総資本利益率」・「自己資本利益率」・「債務償還年数」等です。

その中でも格付けが決まるうえで重要になってくる「債務償還年数」という項目に関して説明させていただきます。
「債務償還年数」とは名前の通り借入金を何年で返済できるかを表す指標です。
求め方としては【(有利子負債合計ー正常運転資金)÷キャッシュ・フロー】です。
なぜこの項目が重要かというと、業種にもよるますが、調剤薬局業界では一般的に債務償還年数が10年超になると格付が下がってしまいます。

ここで、格付けを上げる材料の1つがもう一つの判断基準の「定性的評価」です。
定性的評価は銀行の担当者が独断で決めることが多いので、銀行員への態度も気を付ける必要があります。

格付による債務者区分

各金融機関の格付は非公表ではありますが、冒頭にお伝えした「正常先」、「要注意先」、「要管理先」、「破綻懸念先」、「実質破綻先」、「破綻先」に分類されることが一般的です。

格付の分類を一つずつ説明していきたいと思います。

正常先 業績が良好で、財務資料から見た財務内容にも問題が無く、返済を確りできそうな先
要注意先 貸出条件や債務履行に問題がある。業績が低調に推移している先
要管理先 要注意先に分類される債務者のうち債権の全部または一部が要管理債権である先
破綻懸念先 経営難の状態にあり、経営改善計画等の進捗状況が芳しくない。今後経営破綻になる可能性がある先
実質破綻先 深刻な経営難の状態。債権の見通しが立たず、実質は経営破綻していると言える状態の先
破綻先 法的・形式的に経営破綻した先


新規の融資を受ける際は基本的に「正常先」であることが条件となってきます。
「要注意先」でも融資を受けれる可能性はありますが、高金利で短期間な融資となる場合が多いです。

格付による債務者区分

最後に銀行との付き合い方に関してお話させていただきます。

前述のとおり、融資を決定するのは決算書に基づいた数値面が重要にはなってきます。
然し、私は前職で銀行員をしておりその経験からお伝えさせていただくと、私個人としては「定性的評価」はとても重要な評価項目であると感じておりました。

どのようなとこで判断するかというと、一般的には経営者の方々の略歴、事業計画書等のクオリティ、企業の経営理念・従業員の質等が挙げられます。
その中でも私個人が重きを置いていたのが、経営者の方々のお人柄です。

銀行員は機械ではなく1人の人間なので、少なからず私情により融資の可否が決まることもありました。
銀行員との商談の際の話し方でしたり、依頼された書類を提出するまでの期間等にも気を付けて融資の申し込みをすると同じ財務内容でも格段と融資が下りる可能性が向上すると思われます。

当社は銀行との商談の仕方や提出する資料の作成方法などは個別にご相談もお受けしておりますので、お気軽にご相談ください。