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スタッフコラム

薬局業界の市場からみる薬剤師の需要と供給


薬剤師からの突然の退職相談。
「すみません。来月いっぱいで…」と言われ、後継もいない状況に頭を抱えた経営者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
『薬剤師が足りない』長らく調剤の世界で言われてきたこの言葉ですが、現在の市場はどうなのでしょうか。
さまざまなデータを基に紐解いてきます。

有効求人倍率からみる薬剤師の市場

厚生労働省は毎月有効求人倍率という経済統計を公表しています。
これは、ハローワークに登録されている有効求人数(企業の求人)を有効求職者数(仕事を探している人)で割った値であり、この値が1倍を上回ると、求職者よりも求人が多いため『売り手市場』、逆に1倍を下回ると『買い手市場』と呼ばれます。

求人、求職及び求人倍率の推移
参考:厚生労働省「求人、求職及び求人倍率の推移」

近年の薬剤師における有効求人倍率を比較してみると、
 2016年 → 約6倍
 2017年 → 約5倍
 2018年 → 約4倍
 2019年 → 約3倍
 2020年 → 約3倍
と、2019年からは約3倍で推移しています。

実際に厚生労働省が発表した薬剤師の有効求人倍率は2021年9月時点で3.35倍であり、求職者1人当たり3~4社が手を挙げる『売り手市場』ですが、近年の傾向を見ると、徐々に薬剤師需給は供給側に傾いていると言えます。

薬剤師数からみる市場

厚生労働省が出した『都道府県別にみた人口10万対薬剤師数』によると、2018年時点での人口10万人当たりの薬剤師数は、全国平均で190.1人です。

人口10万人当たり薬剤師数が平均以上なのは、
 関東地方 → 東京都、神奈川県
 関西地方 → 大阪府、兵庫県
 中四国地方 → 広島県、山口県、香川県、徳島県、高知県
 九州地方 → 福岡県、佐賀県
の合計11の地域。
北海道、東北、中部、北陸地域では全国平均を超える都道府県はありませんでした。

つまり、上記11都道府県以外の36地域は薬剤師が不足傾向ともいえます。
しかし一方で薬剤師数が多いと言われる地域でも、地域内偏在が生じており、例えば、高知県では県全体の薬剤師数1,744名のうち、高知市に1,024名と約60%が都市部に集中しています。

これらのことから、同一都道府県内でも地域によっては需要が高いとも言えそうです。

薬剤師の需給調査
参考:厚生労働省「薬剤師の需給調査」

薬剤師の採用は簡単なのか、それとも難しいのか?

厚生労働省が2019年に発表した『薬剤師の需給調査』によると、「薬剤師の総数としては、今後数年間は需要と供給が均衡している状況が続くことになるが、長期的に見ると、供給が需要を上回ることが見込まれている。(一部抜粋)」とあり、厚生労働省の見解としては薬剤師数は充足すると考えられています。

しかし、この調査はあくまでも理論値であり、地域差などは考慮されていません。
そのため、常に薬剤師が充足する企業と、そうでない企業の差がはっきりと分かれる可能性も考えられます。

薬局業界は変革が大きく、報酬改定や機械化、コロナ禍やオンラインなど『変化に対応できているか』が薬剤師の採用難易度にも大きく関わってきます。

つまり、『薬剤師に選ばれる企業』であることが採用における最重要な点であると言えます。

「今後、うちは選ばれる企業なのだろうか?」

少しでも気になるようでしたら、一度弊社までご相談ください。