2022年も調剤薬局を取り巻く環境は目まぐるしく変わりました。
調剤報酬改定やオンライン化に向けた対応等で調剤薬局には変化を求められた年でした。
今回は、2022年の薬局業界の振り返りとまとめとなります。
令和4年度調剤報酬改定の大きなポイントを振り返り
2022年は令和4年度調剤報酬改定がありました。
9ヶ月経って皆様の薬局への影響はいかがでしたでしょうか。
改定の大きなポイントは以下の4つでした。
- 調剤基本料の改定
- 後発品加算のさらなる締め付け
- 特別調剤基本料の厳正化
- 地域支援体制加算の基準引き上げ
これは今後のM&A市場にも影響を与える結果となりました。
薬局業界で進むデジタル化
オンライン診療、オンライン服薬指導、オンライン資格確認、電子処方箋、Amazonの参入など、2022年はデジタル化に向けてのニュースが多い1年でした。
2020年からのコロナ禍で感染拡大を防ぐためにもオンライン診療、服薬指導が可能な医療機関を探して受診するケースもあると聞きます。今後患者様から選ばれる薬局になるために、薬局のファンを作るためにも早急にオンライン化に向けての対応が必要になっていくことでしょう。
マイナ保険証の利用状況
オンライン資格確認に付随してマイナ保険証(マイナンバーカードの保険料利用)も今年話題になったトピックスです。国は、過誤請求や手入力による手間などによる事務コストが削減されると発表していますが、導入期の現在は、そもそも従来の保険証なのか、マイナ保険証なのか、従来の紙の処方箋なのか電子処方箋なのか等の確認が必須のため通常よりコストが掛かるとも言えます。
厚生労働省によると、2022年12月18日時点でのオンライン資格確認の運用開始している病院は52.1%、医科診療所は27.4%、薬局数は64.8%となっています。
薬局については6割強が運用開始していますが、マイナンバーカードの保険証利用登録件数は2022.12.18時点で、約3,700件と全人口の3割程度のため、実際に調剤薬局の現場で使用されているケースはまだ充分とはいえない状況です。
調剤業務の外部委託を本格化
令和4年度調剤報酬改定でも対物業務から対人業務へシフトを図る内容となりましたが、国はさらなる対人業務へのシフトのため、調剤業務の外部委託について本格的に議論されるようになりました。
責任の所在や、安全性の面から検討しなければならない点は多々ありますが、オンライン化が進むなかで外部委託も進んでいく可能性があります。
議論されている中には「40枚規制」の見直しも入っています。この見直しがあると調剤薬局の人員配置が変わることにもなるので一層薬剤師のスペシャリスト化が求められるかもしれません。
調剤の外部委託についてはまだ議論の段階のため実際の薬局運営にどのような変化を与えるかはまだ不透明な部分が多いのも事実ですので、今後の動向をチェックする必要があります。
クラフト、日医工の事業再生ADR
1.さくら薬局の事業再生ADR申請
2022年3月、さくら薬局の屋号で調剤薬局を展開する株式会社クラフトが事業再生ADRを申請しました。
調剤薬局全体だと2021年度には調剤薬局倒産件数が2004年以降で過去最多となっています。
これは受診控えによる処方箋枚数減、コロナ対策のための経費増、加えて薬価の引き下げ、ドラッグストアの調剤薬局併設店増加などの影響が大きいためです。
弊社にも経営が苦しい薬局を譲渡したいという相談も増えているのが実態です。
2.日医工の事業再生ADR申請
2022年5月、ジェネリック医薬品大手の日医工株式会社が事業再生ADRを申請しました。
品質不正発覚を機に業績が悪化したことを理由としています。
後発薬メーカーの品質不正問題を発端とし医薬品の供給不足が深刻になっています。
2022年調剤薬局のM&A動向
オンライン化やOTC医薬品の規制緩和による異業界との競合や、調剤薬局補修改定、薬価改定、新型コロナウイルス等の外部環境の厳しさから経営資源が豊富ではない中小規模の薬局は今後もM&Aを活用し地場大手、業界大手の傘下に入り地域医療の存続を図る事例が多くなっています。
業界大手のチェーン薬局でも調剤薬局改定による収益源を補うため、積極的に資本提携や、買収による規模の拡大を図っています。
こうした点からも今後も調剤薬局おけるM&Aの取引件数は引き続き増加していくのではないでしょか。
2022年にを振り返ってのM&A事例をいくつか紹介します。
- アインホールディングスによるファーマシィホールディングスのM&A(ファーマシィホールディングス:中国地方を中心に100店舗を運営)
- ウエルシアホールディングスによるふく薬品の子会社化(52.58%取得)(ふく薬局:沖縄県内にドラッグストア・調剤薬局計24店舗展開)
- クオールホールディングスによる北摂調剤株式会社のM&A(北摂調剤:兵庫県川西市を本社に置き8店舗を運営)
- 地域ヘルスケア連携基盤(CHCP)による株式会社フラントのM&A(フラント:群馬県太田市を本社に置き11店舗運営)
CBグループにおいても、M&Aに関するお問合せ件数が増加しております。
薬局の売却・買収に関するご相談、お問い合わせがありましたら、お気軽にご連絡ください。