2024年に調剤報酬改定を控えており、環境変化が目まぐるしい薬局業界。企業の存続のため、今後も変化に対応していくことが求められています。その中で、将来の従業員、患者さん、後継者のために今からできる企業価値を高めておく方法について考えていきます。
そもそも企業価値とは何?
企業価値とは、対象会社(対象事業)がもつ価値を金額で表したものを言います。 企業の価値を算定する方法はいくつかありますが、今回は調剤薬局の企業価値算定でよく使われるマーケットアプローチ法の一種である、類似会社比準方式をご紹介します。
株式評価額や事業評価額といった企業価値を算出する流れは次のとおりです。 ①営業利益から減価償却費を足し戻した②EBITDA(想定利益)に、マルチプルを掛けたものが③事業評価額となります。この③事業評価額に現預金等や有利子負債を加味したものが④株式評価額となります。このマルチプルに関しては事業の将来性(処方医年齢や後継者の有無、立地)や運営収益率(応需科目や処方箋の集中率)が関与します。
(上図)株式評価額や事業評価額といった企業価値を算出する流れ
企業価値の高め方
つまり、企業価値を高めるためには、EBITDA(想定利益)を黒字にする必要があります。EBITDA(想定利益)は営業利益がもとになるので、株式や不動産の収入といった副業ではなく、本業の調剤報酬の収益を上げなければ企業価値も高まらないということになります。企業価値を高めるためにも報酬改定を深く理解する必要があり、これまでのようにクリニックや病院から処方箋を待っているだけでは、調剤報酬の収益は、より厳しい状況になると予想されます。
薬剤師も対人スキルが求められる時代へ
調剤薬局の売上高は処方箋枚数以外に調剤報酬改定からも大きな影響を受けます。 次の調剤報酬改定は2024年に行われます。前回の調剤報酬改定では、地域支援体制加算の実績要件が難化し、在宅実績の回数が12回/年から24回/年に引き上げられました。また、後発医薬品調剤体制加算の算定要件も一律5%が引き上げられました。さらに保険医療機関と同じ敷地内の薬局は調剤基本料が減算されています。従来の処方箋を待っているだけの調剤薬局にとって報酬改定は、今後も厳しさを増していくでしょう。 これからの調剤薬局は、一つの医療機関に依存した運営ではなく、自ら動いて受け入れられる患者の幅を広げていかなければなりません。 報酬改定は国が求めている薬局像を理解する指標です。企業価値向上のためには、国が指し示す方向性を理解することは非常に重要です。
まとめ
企業価値を高めるメリットは以下が挙げられます。
- 金融機関からの融資が受けやすくなる(金融機関からの格付が良くなる)
- 倒産リスクが減少する
- 株価が上昇する
- 取引先からの信頼性が向上する
- M&Aで有利になる
自社の企業価値を把握することによって以下のようなメリットが得られます。
- 経営課題を認識できる
- 経営戦略の参考にできる
- 買収基準を設けることができる
- 自社の市場評価を確認できる
まず、企業価値算定を実施し、現状把握(課題抽出)をすることから、企業価値を高めるアプローチが始まるといえるでしょう。CBコンサルティングでは、無料で企業価値算定を行っています。御社の企業価値向上のため、是非CBグループのサービスをご活用いただけますと幸いです。