「東京・江古田エリアでしかやらない」という大きなブランディングの下、地域に根差した4店舗を展開するたむら薬局。
狭いエリアにコミットメントする理由を、田村社長は「地元への愛着もあるけれど、一番は、大きくやるとどうしても目が行き届かなくなるから」と話します。
地域のみなさんの健康で安全・安心な暮らしに役立ちたい―決して耳新しいビジョンではありませんが、「江古田だけ」という点にたむら薬局のプライドと誠意、そして覚悟が感じられます。
この超ドミナント戦略を決めたのは、およそ7年前。
3年前に現在の4店舗目を出店し、2021年3月時点で、地域の薬局の4分の1がたむら薬局だといいます。真の地域密着という終わりなきゴールに向かうたむら薬局の人事評価制度構築について、田村社長と奥様の紀子様(ともに薬剤師)、そして豊玉上店の管理を務める祢津薬剤師に話を聞きました。
法人名 |
有限会社ファルマ (たむら薬局) |
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氏名 |
田村 憲胤 様 田村 紀子 様 祢津 正貴 様 |
ずっと欲しいと思っていた人事評価制度、最後の一押しは従業員アンケート
―はじめに、CBコンサルティングの人事支援をご利用になる前のご状況についてお聞かせください。
田村 憲胤様:
一口に言えばタイミングですが、いくつかの要素が重なって機が熟したという感じがしています。
具体的に挙げれば、スタッフの大半が今の当社ビジョンに賛同して入社したメンバーになったこと、人員に余裕ができたこと、経理を手伝っていた家族が抜けたこと、あとは新型コロナウイルス感染症の影響もありました。
田村 紀子様:
調剤業界が先細りと言われて久しいなか、当社は保険調剤以外にも積極的に取り組んでサービスの幅を広げてきました。
しかし、組織づくりの面では、危機感を持ちつつも具体的なアクションをできずにいました。
うちは新型コロナウイルス感染症による経営のダメージはなかったですが、薬剤師や栄養士の増員もしたので、この体制で売上を増やしていくために組織強化に取り組もうという感じがありましたね。
田村 憲胤様:
ずっと以前から、人事評価制度はつくりたいと考え始めたのは7~8年も前からです。
人員に余裕がなくて何とか回していたような頃でしたが、業務や成果の物差しが欲しいと思っていました。
グレードや考課表を何パターンも考えてみたしたが、制度化も、実際の評価も自分だけではできないと感じていました。
社労士さんに協力してもらっていたのですが、盛り込みたいことが多すぎて「誰がこれを評価するんですか」と呆れられていました。
コストをかけてでも実現させたいと思ってはいたんでのですが、うまくいきませんでした。
田村 紀子様:
何度もつくろうとしていましたが、挫折の連続でした。
田村 憲胤様:
CBグループとは、もともと採用や広報媒体制作でお付き合いがありました。
そんななかで組織診断をする機会があり、スタッフにアンケートを取ってもらったところ、評価・報酬に対して公正感や納得感はあるものの、「制度化」と「見える化」ができていないという課題がわかりました。
「ああ、やはりそうか、じゃあつくろうか」となり、人事制度を本格的に導入することになりました。
とことん議論してた結果、どうあるべきかを明文化
―人事評価制度をつくると決めてからはどうでしたか?
田村 紀子様:
私たちの想いや考えを伝え議論し、それをCBコンサルティングがまとめることを繰り返しました。
当社には、会社がどうあるべきかや薬剤師をはじめとするスタッフにどうあって欲しいかの想いやイメージは強くあるものの、明文化がされていませんでした。
CBコンサルティングには想いを汲んでもらい、漠然としたものを整理し、さらに足りないことや、こういった場合はどうするかといった提案をしてもらい作成していただきました。
田村 憲胤様:
大手の評価は加算・点数をどう取るかがメインだと思います。
当社も点数は大事だけれども、江古田という地域のなかで「薬局として、薬剤師として、どうあるべきか」にういて、すごくこだわりました。
田村 紀子様:
こだわりがあっても、CBコンサルティングの担当者が着々とまとめてくださいました。
かたちになっていくなかで、
「あ、自分たちが考えていたのはこういうことだったんだ」という気づきや驚きがたくさんあったのと、とにかく根気強く議論に付き合ってもらったので、CBコンサルティングとともに築き上げた感覚があります。
思っていた以上によい人事制度ができました。
当初は、別のコンサル会社にも頼んでいたが、業界を知悉しているCBコンサルティングに一本化
―人事支援を標榜している会社は他にもあったと思います。
田村 憲胤様:
自分で練りに練った経験があったからこそ、当初はかたちになるのか半信半疑でした。
今だからお話すると、同時期に他のコンサルにも入ってもらっていました。
他のコンサルは組織づくり専門の会社なのですが、CBコンサルティングは医療・介護専門なので、業界動向や他薬局の事例など情報を多く持っている点で安心感がありましたね。だから途中でCBコンサルティングだけにしました。
業界特有の部分を踏まえて、「たむら薬局ではどうしようか」という議論ができたのは大きかったです。
田村 紀子様:
薬局の業務では、世間話などの対人業務も重要な業務ですよね。
定量評価できないけれど売上につながったり、患者さんのためになったりするものを私たちは評価対象にしたく、それらもうまく仕分けして評価基準を提案してもらいました。
これは、自分たちではできなかったことです。
田村 憲胤様:
一般的には定量評価とすべしと言われますよね。
その重要性は理解しているのですが、他業界の標準や常識だけで薬局を考えるのは難しいことです。
CBコンサルティングと話していくなかで、「まずは社長のビジョンを定着させるのが第一だから、定性評価を多くしてコミュニケーションを取るきっかけを増やしましょう」と言ってもらえました。
これに落ち着いたのは、やっぱりCBコンサルティングが業界を熟知しているからです。
人事評価制度は、スタッフ全員で看板を磨くための会社の“道しるべ”
―たむら薬局様にとって、人事評価制度とは何だと思いますか?
田村 憲胤様:
人事評価制度は、会社とスタッフが同じベクトルで動くための“道しるべ”だと考えています。
田村 紀子様:
今回の制度構築では、これまで社長が言葉や態度、背中で見せていたものをいかに落とし込むかがテーマでした。
評価項目を見れば、会社が向かうところ、個人が目指すべきものが見えるようになったと思います。
田村 憲胤様:
理念や私の考えは面接から入社後もよく話すようにはしていますが、在籍期間が長くなると何度も同じ話を聞かせるのを躊躇してしまう時があります。
そういう意味でも、言語化されて、かつフィードバック面談という確認の場を持てるようになったのはよかったですね。
―スタッフのみなさんの反応はいかがですか?
祢津様:
まだ始まったばかりで、今は不安、戸惑いが勝っているようです。
なかには常にチェックされていると身構える者もいます。
私自身含め、大手に勤務した経験がある者は評価制度に慣れていますが、当社しか知らないスタッフも多くいます。
なかったものをつくっているわけなので、当然の反応でしょう。
評価が馴染んでいくうちに「何をがんばればよいかが明確になった」、「評価されてうれしい」、「みんなで目標を共有」、「自己成長を実感」といったポジティブな声が上がってくると思います。
田村 憲胤様:
スタッフの反応は、初めて聞きました。
こういう風に、制度導入をきっかけに管理職がメンバーとコミュニケーションを取ってくれているのはありがたいですね。
祢津様:
私の立場としては、人事評価制度は「コミュニケーションツール」の一つとも捉えています。
その延長線上に評価があるのかなと。
私は、地域貢献・患者貢献というゴールがないミッションに惹かれて、たむら薬局に入社しましたが、スタッフも同様だと思います。
そのミッションに向かって意識統一がなされ、「評価~やりがい~成長」の好循環が生まれることを期待しています。
CB担当スタッフからのコメント
「Pharmacy Card」の作成・登録などがメディアにも取り上げられていますように、たむら薬局様の地域密着サービスへの取組をはじめとしたご活躍の由、祝着に存じます。
人事評価制度は、経営者が向き合わなければならない課題である一方で、経営と現場の可視化できないギャップを埋める助力となるものです。
「道しるべ」を掲げた御社の益々の発展と永続性に寄り添い続けられますよう、弊社も引き続きご支援致します。