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スタッフコラム

事業譲渡における労働契約の承継ポイントとは


従業員の雇用について

薬局M&Aでの事業承継を検討されている経営者の方からよく伺うのは、
「従業員の雇用を守ってほしい」
というお言葉です。

長年、共に働いていた「家族」のような存在である従業員の雇用を大切にされたいお気持ちを大切に、CBコンサルティングでは、ご希望されているご条件と共に、薬局経営者様の想いも承継してくださるお相手先と交渉させていただいております。

その際、従業員の雇用に関する契約としてどのように盛り込むのが良いのか考察していきたいと思います。

東京日新学園事件

まずは、実際に事業承継に際して従業員の引継ぎが争点になった判例から見ていきたいと思います。

タイトルの「東京日新学園事件(東京高判平成17年7月13日)」は、経営破綻に陥った学校法人が運営していた学校を、新たに設立された学校法人に承継した形の中で、
従業員の解雇が不当であるかどうかが争点となりました。

経営破綻に陥った学校法人から、新たに設立された法人に学校が引き継がれましたが、
その際に、経営破綻する法人は教職員を全員解雇しました。

新法人は、教職員で採用を希望する183名の内、154名に内定を出しました。

残りの29名は、新法人の不採用は不当労働行為であるとして、損害賠償請求を行った事件となります。

判決としては、29名の方は新法人での従業員としての地位は存在しないという結果となりました。

事業譲渡契約は、債権行為となりますので、事業に属する各種の財産をどうするかを決めるのみに留まるため、従業員の労働契約については、自然に承継されるものではないと言う結論でした。

契約書に何が問題だったのか

今回ご紹介した事件におけるポイントは、承継契約の中に、従業員の雇用に関する記載が無かった部分となります。

一般的に、事業譲渡の場合は「承継型」「再雇用型」があり、承継型の際は従業員から「転籍同意書」を取る必要があります。

承継型の際は、同条件での勤務内容を保証しなければなりません

再雇用型の場合は、
元の企業を退職し、新たな企業に雇用されるスタイルで、弊社では再雇用型での引継ぎを行う事が多いのが実情です。

ただ、再雇用型の場合でも事業譲渡契約書で、新規雇用を希望する従業員を雇い入れる条項を入れたり、雇用条件を一定期間ロックする条項を入れたりする事で、大切にしている従業員を守ることができます。

契約書の条文一つで、予期せぬことが起こるのがM&Aですので、慎重を期すためにも、弊社のようなM&A仲介業者を利用いただくことをお勧めします。