新型コロナウイルスの感染拡大により、テレワークの導入や密の回避など、私たちの身の回りには、様々な変化が起こりました。
特に非接触をキーワードとした「オンライン化」「ICT化」は、コロナ禍において急速に浸透し、薬局業界でも、新たなサービスが普及し始めています。
今回はこういった変化を踏まえ、withコロナ、afterコロナを見据えた、新たなサービスと宣伝方法についてお伝えします。
加速する薬局のICT化と新サービス
2015年に厚生労働省は、「患者のための薬局ビジョン」を策定しました。
この薬局ビジョンでは「ICTを活用した服薬情報の一元的・継続的把握」や「医療機関をはじめとする関係機関との連携」が掲げられており、服薬情報のデジタル化が進むきっかけとなりましたが、発表当時は、現実的に薬局のICT化が普及するには、時間がかかるのではと考えていました。
ところが、2020年にはオンライン服薬指導が解禁、さらに新型コロナウイルスの感染拡大を受け、ICT化は急速に浸透し始めました。
このように加速するICT化がもたらす変化は、オンライン服薬指導の他、電子版のお薬手帳の普及やマイナンバー(個人番号)を利用したオンライン資格確認、2023年1月に導入を目指している電子処方箋など、次々と現れ始めています。
導入にあたり設備面の整備はもちろんですが、これらのサービスをきちんと患者様にご理解いただき、利用の推進を呼び掛けることも薬局に求められています。
宣伝方法と各ツールの特徴
宣伝方法と聞いて最初に思い浮かべるツールは、WEBサイトやパンフレットかと思います。
最近はTwitterやInstagramといったSNSサイト、YouTubeやTikTokなどの動画メディア等も主流となってきましたが、それぞれ異なる特徴があります。
下記を参考に、お考えいただければと思います。
1、WEBサイト
「ネット上の名刺」とも言われ、基本的なツールとなります。
どのツールよりも多くの人の目に触れやすく、幅広いターゲットに対してPRできるという利点があります。
既にWEBサイトをお持ちであれば、まずはお知らせ機能を使って、どんなサービスをしているのか、何がメリットか分かりやすく周知するところから始めてみましょう。
もし、オンライン服薬指導や電子お薬手帳のサービスにあたり、システムを導入していらっしゃる方がいれば、下層ページを1枚増設したりバナーを作成することで、認知を高め、広域の処方箋を獲得する一歩になるかもしれません。
2、パンフレット、チラシ
紙媒体の大きな利点は、手元に残り、再読性があることです。
受け取った本人だけでなく、自宅へ持ち帰った際に家族の目に触れることもあるでしょう。
また、店内に置いてあると、お薬を待っている間に手に取っていただいたり、服薬指導を行う際に「便利なサービスが増えました」と患者様へ一言お声がけしやすくなります。
3、SNSや動画メディア
SNSの最大の特徴は、リアルタイム性です。
最新の情報を手に入れやすく、DMやリプライ機能によって、患者様と気軽にコミュニケーションが図れます。
また、動画メディアは、分かりやすさに特化したツールです。
実際の操作方法やイメージを膨らませ、利用するハードルを下げるには良いツールです。
ただし、SNSも動画メディアも単体での利用ではなく、WEBサイトやパンフレット等と組み合わせて活用することでより効果を発揮します。
選ばれる薬局になるために
数年前の薬局業界では、WEBサイトやパンフレット等の宣伝物に対して、「無くても良いが、あった方が良いもの」「とりあえず作成しておこう」といったお声を耳にすることがありました。
しかし、スマートフォンが普及するにつれ、患者様がインターネットで情報収集することは当たり前となり、そこで受けるファーストインプレッションや情報によって、患者様が薬局を選ぶ時代へ変わっています。
こういった背景を踏まえるとWEBサイトやパンフレットは、「ただあれば良いもの」ではなく、「なくてはならないもの」であると筆者は感じています。
特にコロナ禍においては、感染拡大を防ぐために、オンライン服薬指導が対応可能な薬局を患者様やご家族が調べて、遠くても受診するという事例を聞いています。
選ばれる薬局になるためには、適切な情報発信がされているか、目的に沿った手段や方法を使っているか、この機会に見直してみてはいかがでしょうか。
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